真宮ゆずはあなどれない。
しかも、だ。
「柾樹、お願いだってば」
さらに厄介なことに、真宮は――可愛い。
身長は高めでスタイルも良いのに、顔はわりとあどけなさを残していて、つい構いたくなってしまうような明るさも持ち合わせている。
言わずもがな男子からも人気が高い。
真宮は自覚していないだろうが狙っているヤツは山ほどいるわけで、男子間での恋愛話にはよく名前が挙がるらしい。
そんな真宮が彼氏だなんて豪語している男が、こんなへなちょこだったら……そりゃもう納得がいかないのも理解できますとも。
たとえ冗談でもね。
僕みたいなヤツはそんな高級品まぎれのものではなく、ただの使いっパシリの方がずっと似合うと自覚しているくらいには、僕は真宮には釣り合わない。
「間違ってても、知らないから……」
結局ことわることも面倒で、しぶしぶ机からノートを出して真宮に手渡す。
あぁ……なんかのマンガでこんなイジメ話みたな。
なんだったっけか、あれは。