真宮ゆずはあなどれない。


からかわれているのはわかっているし、非現実的なのも承知している。


でも本当に僕が真宮の彼氏だったら……と考えないかといったら、そんなわけもない。


だって真宮は僕からしても可愛いし。


これまでの人生で勉強しかやることがなかった僕が珍しく恋愛に興味を持ったのも、他ならぬ真宮が現れたからだし。


僕らは友だちじゃない。

だけど、きっと恋人でもない。


少なくとも僕にとっては、恋人ではない。

むしろ真宮にとっての方が、恋人ではないのかもしれない。


そんなことを考え出したら寝れなくなってしまったことだって一度や二度じゃない。


僕はこれでもわりと考えだしたら止まらなくなるほうで、こういうのが面倒だから勉強以外のことは避けて生きてきたのだ。


真宮がなにを考えているのかなんて僕にはわからない。


でも、もしただのおふざけなら……

よくあるカレカノごっこというものの一部で、僕のような地味男に飽きたら。


真宮は、なにごともなかったかのように……それこそ彼氏だなんて言っていていたことすら忘れて関わってこなくなるんじゃないだろうか――。
< 6 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop