「色が見える者と色が見えない者が全てとはいかなくても、少しでも気持ちや感じた事を共感できたらすごいと思った。
私は、君と少しでもいい…ただ、私の【茜色】を思い描いて欲しかった。」

まるで、何か重大な事を発表するかのように君は…そう言葉を発した。


それから、何分経っただろう。数秒だったかもしれない。
何となく重くなった空気を破ったのは、意外にも僕の声だった。

「僕は、やっぱり色は分からないけど、【君の色】は少し分かった気がするよ。」

「え?」

君は、何処か思い詰めたような表情を、面を食らったかのような無防備な表情に変えてまじまじと僕の方を見つめた。

僕は、思った事を口にする。
「君は、いつも笑っていて、たまに突飛な事を言って僕を誘って、でも何処か抜けてる…僕にとっては、もう無しでは考えられないようなそんな大切な色だと思う。」

すると君は、冗談を言う余裕も出てきたのかこんな事を言った。

「…綺麗とは言わないんだね。」

だから僕も負けじと、こんな事を言ってみた。
「君の色は、きっと言うまでもなく綺麗な色だと思うからね。」

「君は…優しいね。」

「そうかな。」

「そうだよ。」

(まぁ、ほとんど僕の本心なんだけどね。)

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