恋愛イデアル。
吉備山散策。
吉備山散策(きびやまさんさく)

イデアルと俺、長月遥は吉備山の散策。

散歩。

風が気持ちいい。

「はあ。
望遠鏡(ぼうえんきょう)があるなあ」とイデアル。

「そういえば、どうして水守市の外は見えないのでしょうね?」と長月遥。

「土地は球面(きゅうめん)だからだなあ」とイデアル。

「一方でアカウントさえあれば、世界中のゲームプレーヤーと対戦できる。
我々、水守市以外の場所など想像したこともない」とイデアル。

それらはイデアルたちがこの水守市という風土(ふうど)篤く(あつく)信頼している証左(しょうさ)でもあった。その篤い信頼はしばしばイデアルたちを救ったものである。

春が近い。二月四日。

湿地帯や田んぼ、遠く吉備山が高くそびえていた。
< 4 / 215 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop