365日のラブストーリー
「ありがとうございます、いただきます」
 神長は少し悩んで、コーヒーの缶とハムレタスサンドを取った。

「ちゃんとこの分も乗せて返しますから!」
「いや、これくらいは別に」

「ぜったい、ぜったいだめです。わたし、何かちゃんとお返ししたいんです。じゃないと申し訳なさ過ぎて、どうしたらいいのか」

 あまりにも強く主張しすぎてしまったせいか、神長はしばらく黙り込んだ。それから、おもむろに口を開く。

「じゃあ、俺のほうで考えておきます」
「えっ」
「もし提案を聞いて嫌だと思ったら、はっきり断ってもらって構わないので」

 考えておくと言ったが、何を要求するつもりかは、もうある程度固まっているのかもしれない。それにしても、一体どんな提案なのだろうか。想像しようにも、何も思いつかなかった。
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