365日のラブストーリー
「とにかく今は、余計な心配ごとを抱えずによく休んでください」
 有紗はおとなしく頷いた。まずは明日会社に行けるように、よく身体を休めなくてはならない。

 コンビニの前で神長の車を見送って、それから有紗は自宅に向かって歩き始めた。もし電車で帰ってきていたら、きっとまだこのあたりにたどり着けてもいないだろう。あとからあとから、感謝の気持ちがこみ上げてくる。

(神長さん、すごいタイミングでお水買いに来てくれたなあ。……レジで様子がおかしいことに気がついて、わざわざお店に来てくれたとか?)

 もしかしたら恥をかかせないために、そうしてくれたのかもしれない。真相はどうであれ、あのとき商品を全部戻しに行く羽目になっていたら、恥ずかしくてもうあのコンビニには行けなくなるところだった。

(それにしても、神長さんどんなお礼を要求してくるだろう)
 欲しいものは自分で手に入れることができそうな人だけに、ちょっと思いつかない。
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