365日のラブストーリー
5
軽く食事を取ってから病院へ行き、薬を飲んだ後はひたすら眠り続けた。風邪を早く治すにはこれがいい。と、Renから教えてもらったからだ。
早く良くならなくてはいけないと念じる気持ちが通じたのか、翌朝にはすっかり熱も抜け、コンビニで買ってもらった弁当や惣菜を食べ過ぎてしまったくらいだった。昨日の体調の悪さが嘘のようだ。
通勤ラッシュの人混みに押し流されながら電車を降りて、有紗はスマートフォンを握りしめる。
(会社に着く前に神長さん、電話してみようかな)
顔を思い出すと、それだけで耳が熱くなってくる。けれど、緊張のせいで第一声が思いつかない。
ホームの隅で立ち止まり、神長廉の文字をただじっと見つめた。
「綿貫、おはよう。顔色良くなったんじゃない」
突然宇美の声が割り込んできて、有紗は慌ててスマートフォンを鞄に投げ込んだ。
軽く食事を取ってから病院へ行き、薬を飲んだ後はひたすら眠り続けた。風邪を早く治すにはこれがいい。と、Renから教えてもらったからだ。
早く良くならなくてはいけないと念じる気持ちが通じたのか、翌朝にはすっかり熱も抜け、コンビニで買ってもらった弁当や惣菜を食べ過ぎてしまったくらいだった。昨日の体調の悪さが嘘のようだ。
通勤ラッシュの人混みに押し流されながら電車を降りて、有紗はスマートフォンを握りしめる。
(会社に着く前に神長さん、電話してみようかな)
顔を思い出すと、それだけで耳が熱くなってくる。けれど、緊張のせいで第一声が思いつかない。
ホームの隅で立ち止まり、神長廉の文字をただじっと見つめた。
「綿貫、おはよう。顔色良くなったんじゃない」
突然宇美の声が割り込んできて、有紗は慌ててスマートフォンを鞄に投げ込んだ。