365日のラブストーリー
「おはようございます、昨日はすみませんでした。もう大丈夫です」
「それは何よりね」
有紗は促されて歩き始めた。改札を抜けるときにポケットから切符を取り出す仕草を見て、宇美は思い出したように手を打った。
「綿貫の財布預かってるからね。私のデスクのとこにある、鍵付きの保管箱に入れて」
「えっ」
デスクの引き出しに入れていたと思ったが、まさか上に置きっぱなしになっていたのだろうか。夢遊病者のように仕事をしていたから、自分の記憶すら信用できない。
「昨日の午後、神長さんから『デスクの引き出しにある綿貫の財布を預かって欲しい』って電話かかってきてさ」
「えええ」
「目をかっぴらいて驚くことじゃないでしょうよ。神長さんだもの」
二重の驚きに、宇美は声を上げて笑い出した。
「『万一なくなったとき、疑う側も疑われる側も、かならず嫌な思いをするので』だってさ」
「それは何よりね」
有紗は促されて歩き始めた。改札を抜けるときにポケットから切符を取り出す仕草を見て、宇美は思い出したように手を打った。
「綿貫の財布預かってるからね。私のデスクのとこにある、鍵付きの保管箱に入れて」
「えっ」
デスクの引き出しに入れていたと思ったが、まさか上に置きっぱなしになっていたのだろうか。夢遊病者のように仕事をしていたから、自分の記憶すら信用できない。
「昨日の午後、神長さんから『デスクの引き出しにある綿貫の財布を預かって欲しい』って電話かかってきてさ」
「えええ」
「目をかっぴらいて驚くことじゃないでしょうよ。神長さんだもの」
二重の驚きに、宇美は声を上げて笑い出した。
「『万一なくなったとき、疑う側も疑われる側も、かならず嫌な思いをするので』だってさ」