365日のラブストーリー
「なるほど……、そうなんですね」
 関心のないふりをして、さらりと流してみる。

「有紗ちゃんは海、好き?」

「はい。水着はちょっとっていうかんじですけど。新鮮なお魚は美味しいし、海辺のお散歩とかも好きですし。就職してからはインドアですけど、学生の頃は出かけてばっかりで」

「なんでも好きなんだな、有紗ちゃんって」
 千晃が目を細めた。

「えっ」

「お菓子も大好き、肉も野菜も大好き、魚も大好き、出かけるのも家に居るのも大好き。海も山も街も大好き。ぽわっとしてるっつーか、幸せそうだよなあ」

「そう……ですか?」
 何を見てそう思ったのだろう。とりあえず笑顔を浮かべながらも、有紗の頭はクエスチョンマークで埋め尽くされている。

「俺はどちらかっつーと、嫌いなものの方が多い。食いもんはそうでもないけど、人でもファッションでも、まあ色々と。そりゃまあ、大人だから我慢はするけど。だからなんつうか、彼女は自分と全然違った考えの人がいいかなと。心暖のためにも」
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