365日のラブストーリー
「あ、すみませんっ」
隣に座った女性の肘が思い切り有紗の二の腕にぶつかった。一度身体を起こして、有紗は頭を下げる。こんな姿勢をしている自分が悪いのだ。
もういちどスマートフォンに視線を落としたとき、有紗はすぐに異変に気がついた。画面は呼び出し中に変わっている。
(うそ、このままじゃ神長さんに)
コールを取り消そうとしたとき、画面が通話中に変わってしまった。通話時間が表示され、三秒、四秒と過ぎていく。呆然と眺めている場合ではないと、有紗はスマートフォンを耳に当てた。
「綿貫さん?」
スピーカーの向こうから、神長の声がする。
「あの、わたし」
間違えてかけてしまっただけだ、そう言い訳しようとしたが、
「周りがうるさくてすみません。少しだけ待ってもらえますか」神長の言葉に有紗は「はい」と返事をしていた。移動をしているのだろう、次第に雑踏が遠ざかっていく。
隣に座った女性の肘が思い切り有紗の二の腕にぶつかった。一度身体を起こして、有紗は頭を下げる。こんな姿勢をしている自分が悪いのだ。
もういちどスマートフォンに視線を落としたとき、有紗はすぐに異変に気がついた。画面は呼び出し中に変わっている。
(うそ、このままじゃ神長さんに)
コールを取り消そうとしたとき、画面が通話中に変わってしまった。通話時間が表示され、三秒、四秒と過ぎていく。呆然と眺めている場合ではないと、有紗はスマートフォンを耳に当てた。
「綿貫さん?」
スピーカーの向こうから、神長の声がする。
「あの、わたし」
間違えてかけてしまっただけだ、そう言い訳しようとしたが、
「周りがうるさくてすみません。少しだけ待ってもらえますか」神長の言葉に有紗は「はい」と返事をしていた。移動をしているのだろう、次第に雑踏が遠ざかっていく。