365日のラブストーリー
「大丈夫です。どうとでもなりますから」
「よかったら、朝までうちでゆっくりしていってもらっても」
「そういうわけにもいきません」神長は軽く笑って、首を横に振る。
「……そうですよね」
「俺は自分が家に帰れるかどうかということよりも、綿貫さんの体調の方が気がかりです。だから、まずは自分の身体のことを心配してください」
「今はもう、さっきよりもぜんぜん落ち着いて」
元気なところを見せようとしたが、急に針で突かれたように腹部が痛んで、有紗は歩みを止めた。神長はふらつきそうになる有紗を片腕で抱き留めた。
「いつも笑顔でいる必要はありませんよ。少なくとも、俺の前では」
チェスターコートの襟元に胸に顔を埋めていると 鞄の中で、スマートフォンが震えている。きっと千晃だろう。画面を見るまでもなく相手が誰だかわかったが、有紗は聞こえないふりをした。
(このままずっと、神長さんが側にいてくれたらいいのに)
叶うはずのない願望にしがみつくように、有紗は自ら神長に身体を寄せた。ふわりとムスクの香りに包まれて、理性を突き崩されそうになる。
「よかったら、朝までうちでゆっくりしていってもらっても」
「そういうわけにもいきません」神長は軽く笑って、首を横に振る。
「……そうですよね」
「俺は自分が家に帰れるかどうかということよりも、綿貫さんの体調の方が気がかりです。だから、まずは自分の身体のことを心配してください」
「今はもう、さっきよりもぜんぜん落ち着いて」
元気なところを見せようとしたが、急に針で突かれたように腹部が痛んで、有紗は歩みを止めた。神長はふらつきそうになる有紗を片腕で抱き留めた。
「いつも笑顔でいる必要はありませんよ。少なくとも、俺の前では」
チェスターコートの襟元に胸に顔を埋めていると 鞄の中で、スマートフォンが震えている。きっと千晃だろう。画面を見るまでもなく相手が誰だかわかったが、有紗は聞こえないふりをした。
(このままずっと、神長さんが側にいてくれたらいいのに)
叶うはずのない願望にしがみつくように、有紗は自ら神長に身体を寄せた。ふわりとムスクの香りに包まれて、理性を突き崩されそうになる。