365日のラブストーリー
言葉もないまま、しばらくのあいだ見つめ合った。
「千晃。綿貫さんは帰らせるから。体調が悪くて動けなかったけれど、ようやくタクシーで帰ってきたところだ。無理をさせたくない」神長の声が沈黙に割り込んだ。
「で、神長さんはそのまま有紗ちゃんちに泊まる予定だった、っていうわけっすか」千晃の声からは悪意が感じられた。
「まさか」
大丈夫ですよ、行ってください、と、神長は有紗の耳元で囁いた。千晃とすれ違うとき、引き留められるかと思ったが何もない。
痛みを堪えながら振り返らずに自宅マンションに向かって、エントランスをくぐった。明るさにほっとしながら、ポストも見ないままエレベーターに乗った。
いつの間にか詰めていた息を吐き出して、有紗は鞄から部屋の鍵を取りだした。苦しくて、とにかく早く横になりたかった。
自宅に着くなりパンプスを脱いで、前屈みになったまま寝室に直進する。そのままベッドに倒れ込んで、腹部に手を当てたまま丸まった。
「千晃。綿貫さんは帰らせるから。体調が悪くて動けなかったけれど、ようやくタクシーで帰ってきたところだ。無理をさせたくない」神長の声が沈黙に割り込んだ。
「で、神長さんはそのまま有紗ちゃんちに泊まる予定だった、っていうわけっすか」千晃の声からは悪意が感じられた。
「まさか」
大丈夫ですよ、行ってください、と、神長は有紗の耳元で囁いた。千晃とすれ違うとき、引き留められるかと思ったが何もない。
痛みを堪えながら振り返らずに自宅マンションに向かって、エントランスをくぐった。明るさにほっとしながら、ポストも見ないままエレベーターに乗った。
いつの間にか詰めていた息を吐き出して、有紗は鞄から部屋の鍵を取りだした。苦しくて、とにかく早く横になりたかった。
自宅に着くなりパンプスを脱いで、前屈みになったまま寝室に直進する。そのままベッドに倒れ込んで、腹部に手を当てたまま丸まった。