365日のラブストーリー
「そうなの。とりあえず入院とかじゃなくてほっとしたけど。とりあえず今日は無理してこなくていいから、休みな。明日もきつかったら私に連絡して。メールでもいいから」

「すみません」
「……そんなに落ち込まないで。体調は意志の力だけでどうにかできるものじゃないから。それじゃお大事にね」

「ありがとうございます」
 通話を切って、有紗はため息を落とした。とりあえず、今日は会社に行かなくても良いのだと思うとほっとした。

 メッセージをチェックするが、千晃からも、神長からも連絡は入っていない。神長は朝食から始まった横浜デートの話をするだろうか。千晃は神長にどこまで話をするだろうか。

 千晃は気持ちを弄ばれていたのだと怒り狂うだろう。神長は優柔不断な態度にあきれ果てているかもしれない。

 きっともう二度と笑いかけてくれることはない。ふたりの笑顔を思い出すと、すぐに目に涙が滲んできてしまう。有紗は会計カウンター前の待合椅子に座って目元を擦った。
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