365日のラブストーリー
(もしかして、それもわたしのせい?)
諦めて帰ろうとする千晃の姿に、有紗は勇気を振り絞って、ドアモニターの通話ボタンを押す。
「森住さん」
「有紗ちゃん?」
「いま、開けますね」
エントランスの扉のロックを解除すると、千晃は戸惑いを見せた。
「いいの?」
「はい、上がってください」
千晃の姿がモニターから消える。有紗は急いで服を着替えて、散らかったものをとにかくクローゼットに押し込んだ。しばらくして、部屋の扉がノックされた。
有紗は千晃を出迎えに行った。
「突然ごめん。電話しても出なかったから」
「すみません、眠っていて」
扉を大きく開くと、千晃が遠慮がちに玄関に入ってきた。来客用のスリッパを並べて、目も合せられないまま「寒いのでどうぞ」と奥に促すと、
「有紗ちゃん」
突然千晃の腕が背中に回されて、有紗は身体を強ばらせた。