365日のラブストーリー
「……わたしと神長さんの関係? ……いえ?」
 神長はにこりと微笑んだ。

「じゃあ、大丈夫そうですね」
「わたし大丈夫、なんですかね?」
 吹きつける風の寒さも感じないほど、顔が熱かった。

「たぶん」
「うう……、考えていたことが全部どこかに行ってしまいました。わたしばっかりがこんなに大好きで『こいつもう面倒くさい』って、愛想尽かされて神長さんと会えなくなってしまったら怖いです。でも」

「うん?」
「……それはわたしたちがどんな関係だったとしても同じことですよね。それに神長さんと、恋人として気張った付き合いしたとして、神長さんの気持ちが離れても恋人という枷で縛ってしまうことになったら、それも苦しいし……」

「面白いことを言いますね」
「ええっ?」
 かなり大真面目に話をしていたつもりなのに、いったい何が面白いというのだろう。

「見放される前提になってしまうのは、俺のせいですね」
 神長は短く息をついた。
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