365日のラブストーリー
「とんでもない……でも、人の気持ちがいろんな風に動くのは仕方がないことだと思うので。わたしだってそうだし。だから、神長さんに好きな人ができても、それをだめだなんて言いたくないというか。いつも何言ってるかわからなくてすみません」

「いえ、わかりますよ。『人の気持ちがいろんな風に動くのは仕方がないこと』という縛らない考えが、綿貫さん自身には適用されないのは不思議ですけれど」

「たしかにそうですよね。なんで自分にだけは厳しくしちゃうんだろう。不思議ですけれど、神長さんとお話ししていると、どんなわたしも受け入れられるような気がしてきます。自分のことをわかってくれる人がいるって、こんなにすごいことなんだって」

 どんな話をしても言葉以上に理解してくれる。神長のことをよく知らない人ならば、当たり前のように心を見透かされることを怖いと思ってしまうだろう。けれど彼がどんな人かを少しわかれば、それは安らぎに変わるのかもしれない。
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