365日のラブストーリー
「神長さんとこういうお話をするのは、神さまに心を委ねるときのような、そんなかんじです。駄目な自分を恥ずかしいとか、そういう風に考えずに、素直でいられるというか」

「そう言われると、罪悪感に襲われますね」
「え、どうしてですか?」

 訊いてすぐに、神長の顔が近づいた。唇に目が行くと、恥ずかしくなって見ていられずに、ぎゅっと目をつぶる。

「……もうしませんよ」
 キスを待っていたと思われたかもしれない、神長の言葉にはっとして目を見開くと、大きな手のひらが頭の上に降りてくる。

(神長さんとだったら、もう一回したいのに)
 これを言葉にできたら、彼はどうしていただろう。唇の感触を思い出すと、治まりかけた鼓動がまた速くなってきた。

「わたし、少しずつ神長さんのことわかっていけたらなって思ってます。焦ると周りのいろんな意見に流されて、自分がダメになるってわかったので、わたしのペースでいきます。だから、少し理解に時差があるかもしれませんけど、気長に待ってもらえたら嬉しいです」

 有紗は頭を下げた。
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