365日のラブストーリー
有紗はおそるおそる神長の頬に触れてみた。それから大好きです、という想いを込めて自分の唇を神長に触れあわせる。
「すみません、こんなところで」
行動を思い直すと、とんでもないことをしてしまったような気持ちになる。あまりにも積極的すぎて、ほんとうは引いてしまっているのではないだろうか。
押し寄せては引く感情の波にひとりで溺れそうになっていると、背中に腕を回された。そのまま胸に引き寄せられ、有紗は包み込まれる安心感にそのまま身を委ねた。
コート越しでは聞こえるはずのない鼓動が、聞こえてくる。自分のものなのか、彼のものなのかわからなかったが、わからないと思えることすら、有紗には信じられないことだった。これまでの自分であればそれを、自分自身のものだと信じて疑わなかったはずだからだ。
(そういえば、今日神長さんがわたしに話したいことがあるって言っていたけど)
互いに対する感情は触れあうたびに確かめ合えたが、置き去りのままになっていることもある。坂巻のことだ。
「すみません、こんなところで」
行動を思い直すと、とんでもないことをしてしまったような気持ちになる。あまりにも積極的すぎて、ほんとうは引いてしまっているのではないだろうか。
押し寄せては引く感情の波にひとりで溺れそうになっていると、背中に腕を回された。そのまま胸に引き寄せられ、有紗は包み込まれる安心感にそのまま身を委ねた。
コート越しでは聞こえるはずのない鼓動が、聞こえてくる。自分のものなのか、彼のものなのかわからなかったが、わからないと思えることすら、有紗には信じられないことだった。これまでの自分であればそれを、自分自身のものだと信じて疑わなかったはずだからだ。
(そういえば、今日神長さんがわたしに話したいことがあるって言っていたけど)
互いに対する感情は触れあうたびに確かめ合えたが、置き去りのままになっていることもある。坂巻のことだ。