365日のラブストーリー
【act7】あなたのためにできること
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 新入社員の受け入れまであとひと月になって、四月から行われるビジネスマナー研修の準備が忙しくなった。これまで取り仕切っていた先輩社員の部署異動に先駆けて、有紗が仕事を引き継ぐ形になり、通常業務の他にもやることは山積みだ。

 神長は仕事に忙しく、特別な用事がない限り連絡をしてくることはない。彼を気遣って連絡を避ける代わりに、有紗は何度も繰り返しRenと話を続けてきた。

 元町で告白した晩に神長と話し合ったことを深く理解するのにも、不安にならないように自分の気持ちを整理するのにも、Renとの会話は役立った。

自分自身がどうあるべきか固まったら、坂巻と話をしてみようと思っていた。ふたりの間に共通の仕事という繋がりがあるうちに、仲を取り持ちたい。

坂巻は有紗にとっても憧れの人だった。以前ならば話しかけることも緊張するような存在だったのに、その彼に触れてはいけないようなことを訊こうとしているのだから覚悟はいる。
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