365日のラブストーリー
「ぜんぜん、そういうことはないので。大丈夫ですよ。……心配してくれてありがとうございます」

 千晃がどこまで察しているのかはわからない。けれどきっと神長がしてくれた話をそのまま話したとしても、千晃は首を傾げるだろう。もしかしたら、どんなに深く話しても共感はしてもらえないのかもしれない。

「強引だったとはいえ、仮にも付き合ってたんだから、心配するに決まってんだろ。俺が嫌いになって別れたとか、そういうんじゃないし」

 なんという風に答えたら良いのかわからなくなって、有紗はただ頭を下げた。

「そういや有紗ちゃんも、今日は随分はやくね? どうしたの」
「実は、坂巻さんと少しお話できたらなって思って」

「え? なんでまきさん。……ってまさか」
 神長と坂巻の関係を取り持とうとしていることを察したのか、千晃が絶句した。

「まじかよ。有紗ちゃん、どう考えても今が、神長さんを自分だけに振り向かせるためのチャンスだろ」
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