365日のラブストーリー
「そうかもしれないですけれど、でもあんなに信頼し合っていたのに、このままふたりが話もしなくなっちゃったら、それは悲しいことだなって」

「有紗ちゃんさあ。洗脳されてんじゃねえの? 利用されてない?」
「されてないです! 神長さんは……好意を弄ぶようなことはできない、誠実な人ですから」

「……ほっとけばいいんじゃねえの、ふたりのことは」
「どうしてですか」

「今も仕事は普通にしてるし、必要なことは問題なく話し合ってるように見えるし。互いの仕事も信用してるみたいだし。そんなことよりも俺は、有紗ちゃんに幸せになって欲しいんだよ。身を引いた俺の気持ちも考えて」
 言葉に詰まると、また千晃はため息を吐き出した。

 無言のまま会社に到着して、エレベーターに乗り込んだ。総務部のフロアで千晃が降りる。はずなのだが、なぜか有紗は腕を引かれた。

「森住さん?」

 振り払うこともできないまま、半ば引きずられるようにシステム課に連れて行かれる。そこには早朝だというのに、すでにミーティング中だった。総務部長とシステム課に在籍中の面々が揃っている。
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