365日のラブストーリー
「座ろっか」
 となりの課の椅子を借りて、有紗と坂巻は並んで座った。

「すみません。ミーティングを邪魔するつもりじゃなくって」
「ああ、別に大丈夫だよ気にしなくても。何かうちの出した書類に不備とかあった?」

「いえ、ぜんぜん。わたしの用事は全く仕事と関係ないことなんですけれど。今日でも明日でも明後日でも良いので、少しお時間いただけないかなと思って」

「……今じゃなくて?」
 坂巻は腕組みした。神長も以前、声を掛けても断られてしまうと言っていた。メールやメッセージで誘えば、さっくりと断られそうで直接誘ってみたのだが、反応は悪い。

「最近ちょっと夜は予定があって。……なにか相談かな」
「神長さんのことで、どうしても話したいことがあって」

「え、神長くん? 何かあった? ……ああ、それを今話せないから他でっていうことか。相談相手、僕でいいのかな」

「坂巻さんがいいです」
 というより、坂巻でなければ意味がないのだ。

「ちょっと待ってね」
 坂巻はジャケットの内ポケットからスマートフォンを取りだして、スケジュールの確認をし始めた。
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