365日のラブストーリー
【act8】道のつづき
1
パスポートの期限を最終確認し、忘れ物がないかどうかスーツケースをもう一度チェック。今日は夜便でグアムへ飛ぶ。仕事を定時までに片付けるために、有紗はいつもよりも一時間早く家を出発した。
(こっちはまだ寒いけど、神長さんのいるところは暖かいんだろうなあ)
コートのボタンを上までとめて、ストールをしっかりと巻きつけ直す。
宿は取らなくても構わないと神長から言われてはいるが、仕事後のフライトは到着時間が深夜になるから、はじめの一泊は中心部のホテルを押さえている。
ほんとうは金曜日に休みをもらって、せめて三連休で出かけたかった。そう思うが、年度末に加えて、新入社員を迎え入れる準備で慌ただしい三月に、有給を申請する勇気はなかった。
有紗は電車を降りて、乗換駅のコインロッカーにスーツケースを押し込んだ。
「よし、と」
これで会社に行っても、誰も仕事帰りに旅行をするとは思わないはずだ。鍵をかけて振り返ると、坂巻がすぐ後ろに立っていて、有紗は飛び上がりそうになった。
パスポートの期限を最終確認し、忘れ物がないかどうかスーツケースをもう一度チェック。今日は夜便でグアムへ飛ぶ。仕事を定時までに片付けるために、有紗はいつもよりも一時間早く家を出発した。
(こっちはまだ寒いけど、神長さんのいるところは暖かいんだろうなあ)
コートのボタンを上までとめて、ストールをしっかりと巻きつけ直す。
宿は取らなくても構わないと神長から言われてはいるが、仕事後のフライトは到着時間が深夜になるから、はじめの一泊は中心部のホテルを押さえている。
ほんとうは金曜日に休みをもらって、せめて三連休で出かけたかった。そう思うが、年度末に加えて、新入社員を迎え入れる準備で慌ただしい三月に、有給を申請する勇気はなかった。
有紗は電車を降りて、乗換駅のコインロッカーにスーツケースを押し込んだ。
「よし、と」
これで会社に行っても、誰も仕事帰りに旅行をするとは思わないはずだ。鍵をかけて振り返ると、坂巻がすぐ後ろに立っていて、有紗は飛び上がりそうになった。