365日のラブストーリー
「上に思い切りわがままを言ってみた。その代わり、必ず一年で基盤を作るっていう約束ではあるけれど」
坂巻が苦笑いする。掴んでいたつり革に体重をかけ、身体の力を抜くように、肩で大きく息をついた。
「結論が出るまで随分待たせてしまったけど、今週末神長くんと会って話をしようと思って。僕もここを逃すともう日本にいないから」
「神長さん、今いないですよ。旅行に行ってて」
「いつ帰ってくるか聞いてる?」
「いえ、まだ決めてないと思います。そうだ、電車降りたらすぐ電話して話したらいいんじゃないですか。時差もプラス一時間だし、きっともう起きてるはずです」
有紗が先に一本メッセージを送ろうとして、スマートフォンを取り出そうとすると、坂巻が制止する。
「神長くんにはまだ何も言わないでおいて。僕から話したいから」
有紗は頷いた。彼なりに考えがあるのだろう。一緒に仕事をすると坂巻が決めたのなら、二人のことにはそっとしておくのがいいかもしれない。
坂巻が苦笑いする。掴んでいたつり革に体重をかけ、身体の力を抜くように、肩で大きく息をついた。
「結論が出るまで随分待たせてしまったけど、今週末神長くんと会って話をしようと思って。僕もここを逃すともう日本にいないから」
「神長さん、今いないですよ。旅行に行ってて」
「いつ帰ってくるか聞いてる?」
「いえ、まだ決めてないと思います。そうだ、電車降りたらすぐ電話して話したらいいんじゃないですか。時差もプラス一時間だし、きっともう起きてるはずです」
有紗が先に一本メッセージを送ろうとして、スマートフォンを取り出そうとすると、坂巻が制止する。
「神長くんにはまだ何も言わないでおいて。僕から話したいから」
有紗は頷いた。彼なりに考えがあるのだろう。一緒に仕事をすると坂巻が決めたのなら、二人のことにはそっとしておくのがいいかもしれない。