365日のラブストーリー

「付き合ってはいないです。……わたしたちはそういう関係じゃなくて」
「じゃあなんなの？　その関係」

　宇美から詰められて、有紗は首を傾げた。

（あれ？　わたしと神長さんだけの関係。これって、他の人にはどう説明したらいいんだろう）

「ちょっと坂巻くん、向こうであなたの親友に会ったら、必ず問い質しといてちょうだいよ。どうなってるのかってね」
　事情はなんとなく分かっているはずだが、坂巻は気圧されたように頷いた。

　神長ならこんなとき、周りになんと説明をするのだろう。訊かれない限り自分から話をするようにも思えないが、以前和食の店を教えてくれた老夫婦とのあいだでそんな話はでなかったのだろうか。もし友人から訊かれたら、どうやって答えているのだろう。

　有紗は駅に着くまでの数分間の間、二人の話に笑顔で相槌を挟みながら、ぐるぐると考え続けていた。