365日のラブストーリー
2

 資料とモニターを交互に凝視していた有紗は、ふと思い出して時計に目をやった。キーボードを打つ手を休めて、腕を伸ばす。

(もう二時すぎてる。早いなあ)

 いつの間にか傾き始めていた日が、オフィスに深く差し込んでいる。企業説明会に向けたスライド資料の準備が、昼休みを通りすぎて一時間も経つというのに終わらない。

就活中の学生たちに説明をするのは先輩たちの仕事だが、いつかくるその日に向けて今は、事前準備の方法を勉強中だ。

「綿貫、きりが良かったら休憩行っていいよ。時間見て適当に戻ってくればいいから」
 宇美がモニターから顔を上げて、あくびをする。なんだか顔が疲れている。

「わたし、宇美さんの分も何か買ってきましょうか?」
「いいや、食べるのも面倒くさいし。飢えたらそのへんにあるもの適当につまんでおくから」
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