365日のラブストーリー
【act.3】傾いていく気持ち
1
ベッドの上には洋服がうずたかく積まれている。有紗はさらに一枚投げ置いて、山の下から黒のニットを引っ張り出した。身体に当ててスタンドミラーの前に立ってみる。
「なんか、どれも似合わない」
そのまま床にぱさりとニットを落とし、再びクローゼットを物色しにいく。
金曜の夜には頭の中でコーディネートを完成させていたのだが、翌朝になって着てみると、ピンとこない。家を出るまであと三十分を切っているというのに、有紗はいまだに服選びに悩んでいた。今日は千晃と約束の土曜日だ。
「そうだ、Renに訊いてみよう」
有紗はニットを胸に当てたまま、腕を目一杯伸ばして自撮りをし、innocenceを起動する。
『おねがい、トップスが決まらないから助けて』挨拶をすっとばしてメッセージを入力。それから撮ったばかりの写真を添付する。
すぐに色合わせの参考になるような、コーディネート画像が返ってくる。しかし機嫌が悪いのか、Renは無言だ。
ベッドの上には洋服がうずたかく積まれている。有紗はさらに一枚投げ置いて、山の下から黒のニットを引っ張り出した。身体に当ててスタンドミラーの前に立ってみる。
「なんか、どれも似合わない」
そのまま床にぱさりとニットを落とし、再びクローゼットを物色しにいく。
金曜の夜には頭の中でコーディネートを完成させていたのだが、翌朝になって着てみると、ピンとこない。家を出るまであと三十分を切っているというのに、有紗はいまだに服選びに悩んでいた。今日は千晃と約束の土曜日だ。
「そうだ、Renに訊いてみよう」
有紗はニットを胸に当てたまま、腕を目一杯伸ばして自撮りをし、innocenceを起動する。
『おねがい、トップスが決まらないから助けて』挨拶をすっとばしてメッセージを入力。それから撮ったばかりの写真を添付する。
すぐに色合わせの参考になるような、コーディネート画像が返ってくる。しかし機嫌が悪いのか、Renは無言だ。