365日のラブストーリー
「なるほど……道幅のことあまり考えたことがなかったですけど、たしかにそうかもしれません」
「アウトドア派ですし、気に入ったものが欲しかったのでこの車にしましたが」

「すごく素敵だと思います、そういうのって。こだわりがあって好きな車に乗ってるかんじって。……矛盾してますよね。すみません、わたし何言ってるかわからなくて」
 なんとなく不安になって神長の表情を窺うと、目が合った。

「ちゃんとわかりますよ」

 まなざしはいつも深くて、考えていることをそのまま見透かされてしまいそうだが、その上で言葉を選んでいるのだとわかるから、相手の誠実さも伝わってくる。だから神長には、みんなが本当のことを話してしまうのかもしれない。

「あとで一度コンビニに寄りますね。何か買っておいた方が良いでしょうから」
「ありがとうございます」

 それからしばらくの間、ぼんやりと窓からの景色を眺めたりしているうちに、有紗はいつの間にか眠ってしまっていた。
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