残念ガールは本命チョコを渡さない
やだ!無理、無理無理!
だって、どこのポケット漁ったってチョコのひとつも出てきやしない。
チョコも用意してない私が、仁にあげられるものなんて……目に見えないありったけの愛くらいで
そんなもの、仁が求めてないことなんて
分かりすぎてて悲しくなってくる。
あぁ、なんとも無慈悲なり。
「で?」
「で?と、言いますと……?」
私の前まで辿り着いた仁の開口一番に、思わずキョトンとしてしまう。
「……なんで俺、今日避けられてんの」
「え?」
「避けてんだろ?」
「さ、避けてないよ!!なんで私が仁を避けなくちゃいけないの?」
こんっっなに好きなのに!!!
「は?……だって、今日」
「え?今日?」
「全然、俺んとこ来なかったし。いつもなら朝から放課後までうるせーくらい付きまとってくるくせに」
「えっ!?それってもしかして」
今日一日、私が仁に話しかけなかったこと、寂しく思ってたの!?なんて一瞬思ったのに……。