残念ガールは本命チョコを渡さない
「実はね?……ないの!」
「は?」
「仁に、チョコ用意してないの!」
このタイミングでカミングアウトするのは、すごい辛かったけど。
期待させてるなら申し訳ないし。
謝るなら今しかない。
「今日ね、私のチョコを欲しがる仁に"チョコなんてあげないなりよ〜"って突き放して」
「……は?」
「仁に私を追いかけてもらおう大作戦を実行したの」
「…………」
結果的には大失敗だと思ってたけど、今こうして仁が私を待っててくれたことを考えたら
案外、大成功だったりするかもしれない。
それに、仁も私のことを好きなんだって思ったら、私今無敵になった気分!!!
SO、MUTEKI!!!
「私のこと、好きなの?ねえ、仁って私のこと大好きなの?実は愛しちゃってるの?ねぇ?」
さっきまであんなに落ち込んでたくせに、ツンツンと仁をつつきながらニヤニヤしている私。
「調子良すぎだろ、お前!」
「じゃあ、好きじゃないの?」
「……っ、だぁ〜〜〜!!まじでやだ、お前まじでやだ」
その場にしゃがみ込んで、ガックリ項垂れた仁。
だけどその手が私のブレザーの裾をチョンッて掴んでて……