残念ガールは本命チョコを渡さない
「……仁?」
「待って、今ちゃんと言うから」
なんて、言うから。
その瞬間、今までにないくらい心臓がバクバクして、息切れ?なにこれ、動悸??それとも目眩か!?
って症状に襲われて、何が何だか分からなくなる。
え!?言う!?
言うって何を言う!?
も、もしかして……あの仁が、あの仁が私に
「好きだ……と、思う」
「え!?」
「だから、杏菜が好きだって」
「え!?」
「もう言わねぇよ!!絶対聞こえただろ」
だって、何度だって聞きたい。
仁が私を好きって言ってる!!!
そんなの、もっともっと聞きたい!!
「私も仁が好きなりよ〜〜!」
「……うん」
「えへへ、大好きなりよ〜〜!」
「もはや、何キャラなんだよ」
半泣きで仁と同じ目線までしゃがみ込んだ私を、呆れたように仁が笑う。
その顔が何だかやけに優しくて、かっこよくて、好きの気持ちがオーバーヒートする。
私のブレザーの裾から手を離した仁が、
今度はギュッと強く私の手を握りしめた。