残念ガールは本命チョコを渡さない
あぁ、身体中が心臓に変身した。
どこがドキドキしてるのか分からないくらい、大きく聞こえる私の心臓の音。
「一個、聞いていい?」
「なあに?」
真剣な仁の声。
何を聞かれるのかと、少し緊張しながら答えれば
フゥと、息を吐いた仁がゆっくり口を開く。
「事故チューしたのが、俺じゃなくて他のやつだったら、他のやつ好きになってた?」
……な、なんと。
そんなの、考えたこともなかった。
確かに事故チューしてなかったら、仁を意識することも、好きなることもなかったかもしれない。
仁と話すこともなく、ただ何となく毎日を過ごしてたかも。
仮に違う人と事故チューしてたら……、その人のこと気になってたかも?
それは、分からないけど。
でも、事故チューしたから仁が好きなんじゃなくて、それは単なるきっかけに過ぎなくて。
そこから、仁を意識して、色んな仁を知って、もっと知りたくなって、仁といるのが楽しくて、
仁だから好き。