残念ガールは本命チョコを渡さない
それなのに、仁ってばご覧の通り。
「あのな?俺はナイスバディのお姉さんがタイプなんだよ!」
「うん?」
「今日、風呂入る時に自分の体、鏡でよーく見てみろ。な?」
「胸!?胸なの!?胸が足りないからダメなの!?今日から毎日牛乳飲むよ?あ、揉めば大きくなるって言うよね?仁、揉む?揉んでみる?」
「……頼むから、あんまデカい声でふざけたこと叫ぶんじゃねぇ!!!」
胸のない女は興味がないと、私をバッサリ切り捨てる。
「……あんなに、熱いキッスしたくせにぃ」
そうだよ!
言っておくけど。
最初にモーションかけてきたのは仁だからね!?
私は、仁からの熱いキッスを受け止めて、それからまんまと恋に落ちただけなんだから。
「バッ!あんま、変なことしゃべんな!」
「キッスは好き同士がするものでしょ?」
「ちっちゃい"っ"を入れんな!その響き鳥肌が立つ!」
教室の中で、大声で話す私に静かにしろとばかりに目配せしながら、仁はわざとらしく溜息を零した。