残念ガールは本命チョコを渡さない
それなのに……それなのに。
「いいよなぁ、仁って意外にモテてさ」
「意外にってなんだよ」
「あーー、俺もチョコもらいてぇえ」
ほんっと、仁ってちゃっかりモテるんだから。
それなのに全然気付かないから、誰に対しても思わせぶりで……!!
だから、無駄にライバルたちが付け上がるんだっつーの!
……しかも、なぜか私にだけは
『うるせぇ、こっち来んな!』
いつも驚くほど素っ気ない。
私にはもっと愛を全面に出してくれていいんだよ。そこに遠慮はいらねぇ!!
……とは言え、なんか完全に負けた気分。
自分はチョコすら用意しなかったのに、周りの子は頑張って作ったチョコを、めいっぱいオシャレして渡してる。
あぁ、ダメだ。
私としたことが作戦は失敗どころか、大失敗だよ。
中々チョコをくれない私に、痺れを切らした仁が話しかけてくる……なーんて甘い話は夢物語。
これじゃあ、バレンタインデーを忘れてた女子力の欠片もない女……はたまた、好き好き詐欺女の称号を与えられても
文句は言えない……。