セツに思う、君のことを。
僕はいない。
君のとなりに、僕はいない。
白い空間で白いベッドの上で、沢山の管《くだ》に繋がれた君は、囚われの姫君のように安らかに美しく眠っていた。
そして君は、一年前のあの日と同じ日に、同じ時間に、粉雪のように静かに溶けて消えた。
僕だけを残して。僕だけを此処に置き去りにして。残ったのは小さな金属の雪の結晶だけだった。
僕は君のために、泣き喚くことも出来なかった。ただ、ずっと君だけを見つめていた。
その冷たい手のひらに僕の熱を移すように、一秒でも長く触れていた。
そして、僕もまた。
あの日と同じ場所にいる。
今年もイルミネーションが憎らしい程に輝いている。この街を鮮やかに染めている。
君と過ごしたかったクリスマスの日を。
新しい年を迎えたかった日を。
共に過ごしたかった日々を。
僕は永遠に願ってる。
雪が僕という存在を白く染めて、やがて何も見えなくなるくらいに、何度も綺麗に塗り潰してゆくまで、僕は此処にいる。
──さよなら。雪《セツ》。永遠に眠れ。
僕はいない。
君のとなりに、僕はいない。
雪が降る夜の日、僕は──。
君のとなりに、僕はいない。
白い空間で白いベッドの上で、沢山の管《くだ》に繋がれた君は、囚われの姫君のように安らかに美しく眠っていた。
そして君は、一年前のあの日と同じ日に、同じ時間に、粉雪のように静かに溶けて消えた。
僕だけを残して。僕だけを此処に置き去りにして。残ったのは小さな金属の雪の結晶だけだった。
僕は君のために、泣き喚くことも出来なかった。ただ、ずっと君だけを見つめていた。
その冷たい手のひらに僕の熱を移すように、一秒でも長く触れていた。
そして、僕もまた。
あの日と同じ場所にいる。
今年もイルミネーションが憎らしい程に輝いている。この街を鮮やかに染めている。
君と過ごしたかったクリスマスの日を。
新しい年を迎えたかった日を。
共に過ごしたかった日々を。
僕は永遠に願ってる。
雪が僕という存在を白く染めて、やがて何も見えなくなるくらいに、何度も綺麗に塗り潰してゆくまで、僕は此処にいる。
──さよなら。雪《セツ》。永遠に眠れ。
僕はいない。
君のとなりに、僕はいない。
雪が降る夜の日、僕は──。