セツに思う、君のことを。
陽が傾き、ゆっくりと地平線の彼方へ沈んでいく。少し赤みを含んだオレンジ色の淡い光が、二人を照らしアスファルトに影法師を作る。
歩く度、揺れる影は少しお互いに近付いては離れてを繰り返していた。
「あ、イルミネーション」
声を上げ、彼女が指差した方角へ目線を移すと街路樹に、イルミネーションの装飾が施されていた。
陽が完全に落ちれば、色とりどりの輝かしいイルミネーションが、毎年この街を包み込む。
幸せが具現化したような景色を見る度に彼は、心の何処かでいつも嫌悪感を覚えていた。
それなのに何故か、今年はこのイルミネーション通りを彼女と歩けるだろうかと、まだ点灯されていない街路樹の装飾を眺めながら思う自分が、ここにいた。
期待という言葉が自身の胸を掠める。
彼は携帯のメール機能を利用して、文字を打ち込み、画面を彼女の視界へかざす。
「……ん、明日?」
『明日、一緒にイルミネーション見れない?』
彼女が覗き込んだ携帯の画面には、そう一言だけ書かれている。
ほんの一瞬の間が、彼の緊張感を煽る。クリスマスシーズンは皆、予定が詰まっていることが多い。
彼女もまた同じように、一年に一度のイベントを友人と楽しむ予定ではないのか。伝えてから不安に駆られた。
歩く度、揺れる影は少しお互いに近付いては離れてを繰り返していた。
「あ、イルミネーション」
声を上げ、彼女が指差した方角へ目線を移すと街路樹に、イルミネーションの装飾が施されていた。
陽が完全に落ちれば、色とりどりの輝かしいイルミネーションが、毎年この街を包み込む。
幸せが具現化したような景色を見る度に彼は、心の何処かでいつも嫌悪感を覚えていた。
それなのに何故か、今年はこのイルミネーション通りを彼女と歩けるだろうかと、まだ点灯されていない街路樹の装飾を眺めながら思う自分が、ここにいた。
期待という言葉が自身の胸を掠める。
彼は携帯のメール機能を利用して、文字を打ち込み、画面を彼女の視界へかざす。
「……ん、明日?」
『明日、一緒にイルミネーション見れない?』
彼女が覗き込んだ携帯の画面には、そう一言だけ書かれている。
ほんの一瞬の間が、彼の緊張感を煽る。クリスマスシーズンは皆、予定が詰まっていることが多い。
彼女もまた同じように、一年に一度のイベントを友人と楽しむ予定ではないのか。伝えてから不安に駆られた。