ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
あたしの声に顔を上げた海莉が、先生たちが待機している場所に向かって、一目散に走って行く。


そして、うちのクラス担任の手を引っ張ってテントから引きずり出した。


先生は目を丸くしてヨロヨロ引っ張られながら、完全にへっぴり腰だ。


「お、おい高木? まさか俺を連れて走る気か?」


「はい! 走る気です!」


「俺はかれこれ二十年以上も運動してないんだぞ! いきなり走って死んだらどうする!」


「どうでもいーから早く!」


「よくないだろぜんぜん!」


全校生徒の笑い声と歓声を受けながら、海莉と先生が並んで走る。


敵チームに追いつかれそうになって、本気モードを発動した海莉が、先生の腕を容赦なく引っ張って突っ走り始めた。


だ、大丈夫かな? あれで海莉は運動神経が良くて足も結構速いんだよ。


「ねえ雄太。あの状況ヤバくない?」


「御年五十才を過ぎた先生には、かなりハイレベルなペースだな」


「ちょ、ねえ、マジメに先生大丈夫!? なんか顔色変わってますけど!」


「やべ! AED用意した方がいいか⁉︎」


雄太とふたりでハラハラ見守っていると、海莉と先生チームが見事に一位でゴールしてホッとした。
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