ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
人混みに紛れて見えなくなるまで見送るあたしの心は、今日の日差しみたいにポカポカしている。


よかった。ホッとした。


雄太はこれまでとなにも変わっていない。


やっぱりあたしたちはずっと一緒だ。今まで通り、こうして隣同士で笑い合って毎日を過ごしていけるんだ……。


スタートラインに立った雄太に、あたしは手でメガホンを作りながら声援を送った。


「雄太、頑張れー!」


ピストルが鳴って雄太が真っ先に走り出す。そして用紙を拾って開いた。


なにが書かれているのかな? どうか簡単な物でありますように!


両手をギュッと握って祈りのポーズで見つめていると、雄太がすぐに走り出した。


そしてどんどんこっちに近づいてくる。


「瑞樹!」


とつぜん雄太に名前を呼ばれて、祈りポーズのままキョトンとした。


へ? なに雄太?


「一緒に来い!」


あっという間に目の前まで来た雄太が、あたしの手を掴んで走り出す。


え? え? え?
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