ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
「もしもあのまま読み上げられてたらさ、周りが勝手に盛り上がって、きっと『告白タイム!』って流れになってたと思うんだ」


「うん。あのノリだと公開告白になってたろうね」


「そんなの、無理だよ」


全校生徒の目前で雄太を振れって?


雄太にそんな、大恥かかせられるわけないじゃん。


じゃあ、みんなの目を気にして告白をオーケーするの?


それはできない。


できたら苦労しないんだよ。なんのためにこんなに苦しんでるのよ!


……もう、やだよ。


なんでこんな思いをしなきゃなんないの?


あたしはただ、雄太とずっと一緒にいたいだけなんだよ。


お父さんがいなくなって、大切なものが跡形もなくあっさり壊れちゃった。


そして失ったものは、泣いても叫んでも戻らない。


「だからね、もう二度と失いたくないんだ」


「瑞樹……」


「雄太まで失ったりしたら、次に壊れるのはあたしの心だから」


だから。だから。


お願いだから……。


「どうか雄太だけは、守らせ、て、よぉ……」
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