ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
おっきい手で髪の毛グシャグシャに掻き回さないでよ!


せっかく毎朝早起きして、頑張ってサラサラのストレートにしてるのに。


以前に雄太が『サラサラのロングっていいよな』って言ってたのを聞いて、その日のうちにストレートアイロン買いに走ったんだよ!?


そんな恋する乙女の涙ぐましい努力を無にするなー!


「やめてってば! ふわあ……」


頭の動きにつられて視界が大きく揺れて、目が回りそう。


気の抜けた声を出したあたしの耳のすぐそばで、低い声が聞こえた。


「まさか生徒会長に見惚れてた、なんて言うなよ?」


え? と思って見上げる至近距離に、雄太の顔。


ニコッと微笑んでいるけれど、切れ長の両目は笑っていないように見える。


くっきりした涙袋の黒目がちの視線が妙に真剣で、あたしはキョトンとした。


「どういう意味? あたし生徒会長なんて見てないけど?」


いや、生徒会長“なんて”っていう言い方も、我ながらどうかとは思うけど。


でも実際、ぜんぜん見ていなかったし。
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