ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。

「あたしが見てるのはずーっと雄太だけだよ？」


事実をありのままに伝えたら、なぜか雄太が不意打ちを食ったような顔になった。


唇をキュッと結んで、ほんの少し顔を赤くして、大きく見開いた両目をパチパチさせてこっちを見つめている。


その表情の意味がわかんなくて、あたしはポカーン状態。


そしたら雄太は『まいった！』って言いたそうな表情をして、明るい声で笑い出した。


「お、お前って、ホント天然だよな！」


「な、なによお？　今さら」


あたしは両方のホッペを膨らませて反論した。


それ、いっつも雄太があたしに対して言ってることじゃん。


『最高の天然』だの、『最強なボケ担当』だの、『天才的な鈍感力』だのさ。


言葉のムードはやたら豪勢だけど、絶対に褒めてないよね？　鈍感なのはどっち？


もう十年以上片想いしてるのに、気づいてくれない雄太にだけは言われたくない！


まあ、気づかれても恥ずかしいし、どうすればいいかわかんなくなるから困るけど。


こんな微妙で繊細なあたしの気持ちも知らないで、最強ボケだのなんだの。あ、なんか無性に腹立ってきた。