ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
早くしないと予鈴が鳴っちゃう。


急ぎ足で三年生の教室に向かいながら、海莉と頭を寄せ合って作戦を立てた。


「どんなシチュエーションで告白するつもりなの?」


「わかんないけどインパクトは大事だよね。関先輩ってストレートな性格だから、ハートにズドンと直球を投げるような感じがいいかなって」


関先輩のクラスの前に到着して、扉の陰からそっと中を覗く。


窓際の席で、数人のクラスメイトと楽しそうに話している先輩の姿を見つけて、慌てて顔を引っ込めた。


うわー。な、なんだかあたしまで緊張してきた!


「ほら海莉、見て。あたしの手汗がすごいことになってる」


「瑞樹が告白するわけじゃないんだから」


「そうだけど、こういうの初めてなんだもん」


「あたしだって自慢じゃないけど初めてだよ。瑞樹にそんなに緊張されたらますますあたしも緊張するから落ち着いて」


そ、そうだよね。海莉の言う通り。


さて、教室まで来たはいいけど、これからどうしよう?


「海莉がこっそり先輩を呼び出して、ひと気のない場所に……え?」


話の途中でいきなり海莉が教室の中に飛び込んで、ペコリと頭を下げながら「おはようございます!」と大声で挨拶をしたもんだから、あたしは目を丸くした。


海莉ぃ⁉︎ なにやってるの!?


「二年二組の高木海莉です! 朝早くからすみませんけど、大好きな関先輩に告白しに来ましたあ!」


――シーン‥‥‥。
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