ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
いきなり名指しされた関先輩は『……は?』って顔して硬直してるし、静まり返った教室中の視線が海莉に一極集中している。


あたしも口をパカリと開いたまま、今にも腰を抜かしそうだった。


た、たしかにこれは、インパクト強い。


ものすごい直球だとも思う。


でも……直球の勢いが強すぎて、先輩のハート直撃どころか、粉砕一歩手前になってる気がするんですけど……。


「関先輩! 私は一年生の頃からずっと先輩のことを……!」


「わー!? ちょ、ちょっと待ってくれちょっと!」


無謀にもその場で告白タイムに突入した海莉に向かって、真っ赤な顔をした関先輩が突進する。


そして「こっち来て!」と叫びながら海莉の手首を掴み、そのまま教室から飛び出して、廊下を駆け出した。


目の前を走り去るふたりの姿を呆気にとられて見送ってから、我に返ったあたしも急いで後を追う。


待って! この場にあたしひとりで置き去りにされても困るよ!


階段を駆け下り、キョロキョロしながら生徒玄関の方へ小走りに進んで行くと、急に前方から声が聞こえて慌てて立ち止まった。
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