ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
「あたしは関先輩のこと、一年生の頃からずっと好きでした」


海莉の声だ! わ、知らないうちにこんなに接近してたんだ。


とっさに下駄箱の陰にピタリと体をくっつけて、ふたりに気付かれないように息をひそめた。


盗み聞きしてるみたいで申し訳ないけれど、ここで身動きしたらバレちゃう。


この決定的な瞬間を邪魔するわけにはいかないよ!


「本当に好きなんです。だから、よければあたしと付き合ってください」


海莉らしい、とても素直でハキハキした告白だった。


でもさすがに声が微妙に震えてる。どれほど緊張しているのか伝わってきて、あたしの心臓も破裂しそうだった。


海莉、頑張れ!


関先輩、どうかお願い。海莉の純粋な気持ちを受け取ってあげてください!


「えっと、俺? 俺なの? つまりキミが俺を好きってことなの?」


関先輩の困惑した声が聞こえてきて、あたしは心の中で即答した。


そうですよ先輩! ずっとあなたのことが好きだったんです!


いや、あたしじゃなくて海莉がですけど。
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