ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
「……雄太のおバカ」


「なんだとー!?」


唇を尖らせて文句を言ったら、平手でオデコをペチペチされた。


これ、いつも雄太があたしにやる『連続ペチペチ』。


ぜんぜん痛くないけど、オデコを押されるたびに、勢いに押されて体が後ろにのけ反っちゃう。


「わ、わわっ」

「おっと」


バランスを崩したあたしを、雄太が背中に手を回してヒョイッと支えてくれた。


雄太の手って、指が細くて少し華奢なんだけど、手のひらが大きくていつも温かい。


頼もしさと男らしさを制服の背中越しに感じて、ドキッとして体が固くなる。


う、うわ。顔が勝手に赤くなってきた。これじゃ雄太に変に思われちゃうよ……。


「ねえねえ、そこのバカップルさーん。校内でイチャつかないでもらえますぅ?」


ドキドキしながら下を向いていたら、教室のドアから顔を覗かせたクラスメイトの海莉(かいり)が、笑いながら声をかけてきた。


海莉とあたしは中学の頃からの親友同士。


スッキリ短めな髪と、アーモンド形の大きな目と、彫りの深い顔立ちがとってもキュートな元気っ娘。


少し引っ込み思案なあたしとはタイプが違うけど、すごく気が合うんだ。


「あんまりラブラブオーラを見せつけられると、羨ましすぎて、石ぶつけたくなるんですけどー」


「べ、べつにイチャついてないし! ラブラブってなにそれ!?」


ニヤついている海莉に向かって、あたしはムキになって反論した。
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