ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
「キミの気持ちはわかったよ。まずはお礼を言わせて。ありがとう」


ようやく先輩が沈黙を破って、あたしはホッと息をついた。


なんとかこのまま、ふたりがうまくいきますように!


「でも、お付き合いっていうのはどうかと思う。俺はキミのことあんまり知らないし」


ホッとしたとたんにそんな声が聞こえてきて、顔からサッと血の気が引いた。


そんな! まさかのお断り!?


そりゃ先輩は、よく知らない女の子からの告白に、簡単に『いいよー』なんてオーケーするような軽い人じゃないとは思うけど。


それでも海莉は、そんな軽い気持ちで告白してるわけじゃないんです!


「でも先輩。知らないから、知るためにお付き合いするのもありだと思います」


オロオロしているあたしと違って、海莉は簡単には引き下がらなかった。


しっかり食い下がる海莉に、先輩の慎重な声が応じる。


「たしかにそうだけど、俺は今年受験生だから忙しくなるよ? ふたりで会う時間はあんまり取れないと思う」


「はい。それはわかってます」


「それにウチ、母親いないから。俺が家事しないとダメだからますます時間ないし」


え? そうだったの? 知らなかった。


初めて知った事実に目をパチパチさせていると、海莉があっさり答える。


「それも知ってます。ぜんぶ承知の上です」
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