ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
……海莉はすごい。


先輩の性格が慎重なことも、状況がいろいろ大変なことも知ってたんだ。


なら断られる可能性が高いことも、ちゃんと理解してたはずだ。


なのにあたしと違って諦めなかった。


どうせ告白したって断られるだろう、とか。もし付き合えたとしても続かないかもしれない、とか。


そんなことよりも、もっと先のことを考えていた。


自分の望む未来を叶えるために、どうすればいいかを考えて、ちゃんと行動に移したんだ。


それは簡単に見えて、ぜんぜん簡単じゃない。すごく勇気のいることだよ。


『きっとダメだろう』じゃなく、ダメにしないための道を探して前に進もうとする意志は、強さと勇気がなければ生まれてこない。


その両方を持っているあたしの親友は、やっぱりすごい。さすがは海莉だ!


ねえ関先輩、どうです? 海莉は本当に最高の女の子でしょう!?


「いきなりお付き合いってわけにはいかないけど、まずはお友だちからってことでどうかな?」


先輩の声が、これまでよりもずいぶん親し気で柔らかい雰囲気になっている。


そしてすぐさま海莉が答えた。


「はい! よろこんで!!」
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