ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
やったー‼︎


思わず跳ね上がりそうになりながら、あたしは小さなバンザイを繰り返した。


きっと海莉は今、満開のヒマワリ畑みたいなあの笑顔で笑ってる。


見えなくたって、あたしにはわかるよ!


海莉がどんなに喜んでいるか、胸がジンジン熱くなるくらい伝わってくる。


『お友だちから始めよう』


それは最初の一歩だ。海莉が望む未来へ続く第一歩。


たしかに海莉は自分の意思と勇気で、幸せな未来へ向かって踏み出したんだ。


よかった……。よかったね、海莉! あたしも嬉しくて嬉しくて泣きそうだよ!


「じゃ、そろそろ教室に戻ろうか。もう予鈴が鳴るだろうし」


「はい」


目尻の涙を拭いていたら、ふたりがこっちに来る気配がして、あたしはバレないように下駄箱の裏にそっと回り込んで反対側へ移動した。


そしてこっそりと下駄箱の陰から顔を出し、海莉と先輩の後ろ姿をホクホクしながら見送る。


肩を並べたふたりの距離がすごく近く感じられて、またまた胸がジーンとして目頭が熱くなっちゃった。


もう、言葉にならないくらい感動だよ。恋ってなんて素敵なんだろう!


―― ~♪


予鈴が鳴り響いて、関先輩が海莉の肩をポンと叩き、それを合図にふたりが同時に走り出した。


遠ざかるその姿に重なるチャイムの音が、昔聞いた教会の鐘の音のように思える。


あたしは熱く波打つ胸を両手で強く押さえながら、ふたりの背中が見えなくなるまで、じっと見つめ続けていた。





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