ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
あたしが雄太に片想いしてることは誰にも秘密なんだけど、親友の海莉にだけは中学の頃から打ち明けている。


だから海莉はあたしと雄太が一緒にいると、カップル扱いして囃し立てるんだ。


たぶん、冷やかしながら応援してくれているつもりなんだと思うけど……。


恥ずかしいからヤメてって、何度も言ってるのに!


「ふふん。どうだ? 羨ましいだろ」


雄太がまるで見せびらかすように、あたしの肩に手を回してグッと抱き寄せた。


『へ?』と思った直後にお互いの体がピタッと密着して、あたしの背中が雄太の腕の中にすっぽり包まれてしまう。


なにが起きたのかわかんなくて、あたしはまたまたポカーン状態だ。


「あらら! お熱いですねー!」


海莉が口元に手を当てておおげさにニヤける。


雄太がいつもつけてるコロンの香りがした瞬間、我に返った頭にカッと血が上って、一気に全身が熱くなった。


あ、あたし今、雄太に抱っこされてませんか!?


されてますよね!? 明らかに抱っこ状態ですよね、これ!


「ななななにしてんの雄太!」


慌てて雄太から一歩飛び退いたあたしは、ジリジリするほど火照った顔で叫んだ。


バカバカ! 海莉が見てるのに!


あ、いや、見てなかったらオッケーですって意味じゃなくて!


「公衆の面前で、生徒会副会長がセクハラ行為しないでください!」


「なに言ってんだ。合意ならセクハラは成立しないだろ」


「誰と誰が、なにを合意してるって!?」


「俺とお前が、ラブラブってことに合意してる」


「な……!?」


片想いしてる相手に、笑いながらそんなことを言われて、ただでさえバクバクしている心臓が破裂しそうになった。


海莉にも「ひゅ~! 甲斐くん、言うねぇ」ってからかわれて、もう、頭のてっぺんから湯気が出そう!
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