ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
―― トントン。


「はい!」


いきなりドアをノックされて、心臓が破裂しそうになりながら勢いよく振り返った。


開いたドアの隙間から顔を出したお母さんに、つい身構える。


お母さんが呼びに来たってことは、あたしも同席しなきゃならないの?


……やっぱり嫌だ。だって、どんな顔してふたりの間に座ればいいのかわかんないよ!


「瑞樹、お父さんが来たわ」


「う、うん。でもお母さん、あたし……」


「一緒に雄太君も来てるんだけど」


「へ?」


思ってもいなかったことを言われて、気負っていた全身からカクッと力が抜けた。


雄太が? 来てる? お父さんと一緒に?


「なんで?」


「さあ? お母さんもわからないんだけど、玄関先で偶然一緒になったみたい」


そう答えるお母さんも困惑顔だ。


そりゃそうだろう。これから離婚届にハンコを押すってときに、雄太に来られても困る。


理由はわからないけど、たぶん雄太はあたしに会いにきたに違いない。


タイミング悪いな。とにかく今は、あたしの部屋に来てもらおう。
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